climber　star
　　 玉虫少年と純粋少年

「ロード」「ドア」「アリ」
「りんご」「ゴリラ」
「ら、らー…ランドセル！」

昼休み。天気も良いからと鳴子君に誘われた中庭で
僕達は部活帰りのジュースを賭けてのしりとり勝負をしていた。
何か楽しみがあった方がやりがいがあると言う鳴子君の提案に
面白そうかもと僕は頷いて始まったんだ


「ルビー！」
「なぁ小野田くん、ビーって音伸ばすと、い、なのかビなのかどっちやねん、毎回考えるわ」
「いで良いんじゃないかな？鳴子君ビで何か思い付く？」
「ビールかビルやな」
「どっちもルになっちゃうじゃないか;」
「ホンマやな、それじゃ小野田くんは るからや！」

そんな雑談もあったりして。

「る…ぇーっと…」

最初は面白半分でも次第にヒートアップしていくのがパターンで、
僕はなるべくまた るに戻って来ないようにとあれこれ考えを巡らした。

「ルーベンス」「スイカー」
「か、カモノハシ！」「しらたき」
「教会」「いくら」
「鳴子君食べ物ばっかりだよ//」「気のせいやて、ほら、ら！」
「らー…らっこ！」「コマ」
次は ま、だと考えていると僕の肩を軽く叩く感覚

「何してるッショ、坂道」
「ま、巻島さん！」
「あ、今小野田くん んがついたからワイの勝ちーやったー！」
「…何、どういうことなワケ？」

事情を説明すると巻島さんは笑って二人ぶんのジュースを買ってくれました。
この勝負はドローだね、鳴子くん。